何が明代に書かれたか
2013/06/15
テレビ東京さん(詳しくは製作会社)から、送っていただいたDVD(PC版)を、本日、改めて見直しました。
皆様が、ご覧になったものと、全く同じものです。ご安心ください。で、実は、映像の中に、一文字、少し引っかかる所がありまして。
すこし、落ち着いたところで、つまり、本日、見直しました。ああ、やっぱりという感じです。
鑑定団はバラエティ番組(内容のうすい番組)だから、見ないという方は、専門の方ですから、鼻で笑います。
骨董趣味で、この番組のファンの方で、そうなんだーと鵜呑みにする方は、このHPまで来ません。
日々の生活に追われ(私もその一員ですが),時間がありません。
ライブドアさんの解説にある
”その評価は極めて高く、明代の宮廷コレクションの目録《宣徳鼎彝譜》にも名品として
哥窯の名が記されている程である。-----”というくだり。
一文字とは、倣の文字でした。
録画された方は、一度、ご確認ください。時間はナレーションの始まる10秒足らずです。
倣宋哥窯款式と読み取れます。
テレビ局(製作会社)のコメントは、実は、少しばかり、早とちり。
製作現場は忙しい。徹夜の連続。でも、核心的なところは、押さえるべきです。見る人は、皆、素人です。
倣の文字を取るのは、何も中国ばかりの話ではなかった。
結局のところ、別段、そう哥窯をほめた書籍でも、ましてや宮廷コレクションの目録でもないのです。
当時、模倣磁器(本物の写しを作る)で有名な窯、宣徳炉という窯の、いわゆる、出荷目録でした。
この話をする骨董屋さんは、当然、学習していないと、なります。
当サイトのファンの方は、おおよそ、官窯なるものの理解が進んでいて、磁器は、カルテそのもの、
そういうことがお分かりと思います。外に、漏れる訳がないのです。
病院のカルテが、ネットで流出していますか?
下が重要なところです。
賜内府佛堂及天下名山寺院低O押O 内府の佛堂、及び全国の著名寺院に皇帝より授けるもの
倣宋哥窯款式高二寸七分耳長八分 宋代哥窯様式の模倣磁器、高さ8.4cm、耳3.1cm
(明代1尺は31.1cmとして)
成棠梨色共二百座 色はポンカン色 総個数200個
ポンカン色の参考はW_ponkan3111
他にも皇帝が焼かせ、配り届けたものは、番組DVDの画面では、以下のようです。
倣東青磁様式 200個
倣東青磁様式 200個
倣元朝臨府様式 200個
倣元朝臨府様式 200個
《宣徳鼎彝譜》《宣徳彝器図譜》《宣徳彝器譜》
明・宣徳三年(1428)に製造されてから重視を受け、多くの模倣品が作られた宣徳炉の研究に価値を有する。
(これら書籍販売の上はコメントです。)
では、このとき200個作り、全国寺院に送った哥窯様式の磁器とは、どんなものか興味があります。
高さ8.4cm 耳3.1cmとあります。法はHともに旺の天徳、耳は明代が丁の登科、故宮は不明ながら、
恐らく害の口舌、病臨、死絶、災至のいずれか。
近いものは下の故宮に伝わる米色魚耳炉(H8.2)ですが、耳がかなり大きく、色は良いのですが
この場合の直接の参考には、なりません。
参考品を探してみましたが、出てきません。出てくれば、それは一体、何になりましょうか?
倣品? 倣品の倣品?それとも倣品の元型で真品?
耳は高さの半分以下です。
お探しください。
鑑定団では、誠に疲れました。
出場依頼を6年前に出して、当時、業として古美術商の看板をHPに出していたせいで、事前確認の段階でボツに。
今回は、嬉しいことに先方さんから、出ませんかと依頼があった。
肉を切らせて、骨を切る。肉を深く切られました。
ちゃんと、中島さんに、写真見せといてよ。そう、何度も制作の方にはお願いしました。
随分とていねいに、数多くの写真(ものは15個位)を撮っていかれた。
初めは、わかり易い上の磁器、南宋 修内司の臨安府 初窯のものにしよう。
か窯が、今回、先方さんのご指定でしたから。
そういう話だったのか!
何点か写真を撮っている間に、どうせ1回きりの機会だし、一番、ものとして素晴らしい焼き物にしよう。
そう、思った訳です。別に、どの時代のものかといってる訳でもなし。
名古屋にみえた担当の方は、それはあたりの良い方で、すっかり、気に入りました。
頼むよ。そっちが出ないかって、いう話だよ。1000円、2000円なんてのはいやだよ。
HPもちゃんと見るように、頼んでおいてよ!
まさか現代のひびやきせいじとは! (なんでしょうか?それは?)
あああ、そういう話だったのか!
結果は3000円。
くじけません。印象派絵画100億円より値打ちがある。そう、堅く信じていますから。
まあ、値段は買い手がつけるものですが、磁器としては最高の部類。
コピーが一番難しいからです。鑑定の最後、急所は、もう、ここしかありません。
明、清のものは、その点、美術品より、工芸品、今でも中国で作っていますから。
復古し易いもの、それは、時代、技術の違いはあっても、復古できるわけです。
陶磁器の美術品の価値が下がったとするなら、この容易性もあるのでしょう。
一体、どこの誰が、鑑定できるのさ!そんなものなら、私が買える訳がない!
興奮はしばらく、収まりませんでした。
バラエティなんだから、あれはあれでいいんだよ。
知り合いのある社長さんからも、そう、慰めて頂きました。
もくろみ
しかし、当初もくろみのサイト入場者さまは300名を超え、ひとりでも多くの方に見て頂き良かったと思います。
100人に1人 真実を語るものがいる。また信じる人がいる。
0.3%
700万人位の人が、このときの金糸鉄線を見れば、0.3% 約21000名の人がそうかもしれない。
そう思って頂けた。それで、まずは、良かったと思います。
しかし、今日まで、その2万1000人のうち、一人も会っていない。
挑戦者
世間の常識にとらわれず、おのれの強い信念に従い、くじけない。
0.3%はすべての成功確率です。1000人に3人です。
3000円と信じた人は、99.7% 約697万9000人 テレビはこわいですね。
後日談
私の知り合いで、この番組を見た若い女性。素敵な人ですが。
4万円の値を付けてくれました。2個で8万円。
この方だけなんですね、買いたいと言ってきたのは!
日本に留学し、仕事もされている、故郷は四川省です。
皆で感心しきり。さすが!挑戦者が現れました!
法則の解説 Housoku (low) 王朝の磁器はすべて丁蘭尺1尺 384mmに規定されます 中を10に分ける尺白寸白法で吉兆を表します |
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